翔丸

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カリスマを描いたら能條純一さんの作品以上のものは、あまり見受けられません。
ほとんど説明もなく、ただ存在するだけで、その行動や立ち振る舞いだけで絶大な影響をふりまき、ひたすら周囲が高揚・翻弄される姿。
「哭きの竜」で魅せられて以来、能條さんの作品はいつも注目してしまいます。

作者
能條純一
出版社
講談社
巻数
全3巻完結
ジャンル
カリスマ
バイオレンス
アンチヒーロー

劇画タッチなのと、アンチヒーロー的なバイオレンスストーリーですので、万人に好かれるかというと少し疑問があります(^^;)
絵も濃いですが、出てくるキャラクターも濃いですから☆

「カッターを持った悪のカリスマ・翔丸」。カッターナイフで切ることにより相手を「洗礼」、心酔させる能力を持った「悪の天才」翔丸は、ズバ抜けた頭脳と智略をもとに、暴力による日本制覇を狙う。

ウィキペディアより引用

なぜ日本制覇をねらうのか、カッターで切ったらなぜ相手が心酔するのか…
おそらく、まったく、いっさい説明はなかったかと思います。

人生をゲームと言い切る翔丸だから。というだけで納得してしまうほどの「カリスマ」が描かれています。

「天才」──────。この言葉は、努力すれば手に入る「秀才」という称号とは違った、底知れぬものを感じます。
(中略)
僕は「悪の天才」を描きたかったのです。
能條純一

コミック本文より引用

物語は後日談のような、翔丸に関わった人々からの談話を受けるように進みます。
いじめに合い、自宅で自分の頬をカッターで切る翔丸。
全てはここから始まります。

クラスを制し、学校を制し。
広域暴力団と対峙する中、ついに「とりあえず、日本がほしい」とつぶやく翔丸に、思わずゾクりとする興奮を覚えました。

なにせ、「とりあえず」ですからね。(´Д` )ウヒャー

翔丸組はヤワじゃない

コミック本文より引用

凄く癖のある作品ですが、短いですので能條ワールドの一端を感じさせてくれる須玉の作品です。
d(⌒ー⌒) ぜひ!


大使閣下の料理人

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主人公はベトナム駐在大使の公邸料理人。
日本とは異なる食文化の中、原作者の西村ミツルさんの実体験を元に描かれる食の外交は、他の料理漫画には見られない異国間文化交流がテイストされていてかなり面白い内容です。

漫画
かわすみひろし
原作
西村ミツル
出版社
講談社
巻数
全25巻(文庫版全13巻)完結
ジャンル
料理
政治
グルメ
飯テロ
ハートフル

現実の外交・政治の時事ニュース等をストーリーと関わらせ、またタレーランなどの食卓外交、各料理の起源やお客の個人的な想い出のエピソードが話の広がりを膨らませている。

ウィキペディアより引用

主人公の味沢公はフレンチの料理人として、日本でも有数のホテルに勤めているのですが、機械的な作業に疑問を抱き、相手の見える「気持ちが伝わる料理」を目指して、妻子の反対を押し切って(事後承諾w)公邸料理人に応募します。

面接の際に給料のことを聞かなかったのは君だけでした
本来、職人というのはそういうものなのでしょう

コミック本文より引用

倉木和也大使が大沢公を雇った理由として述べられる言葉通り、真正直で真摯な行動に、食を通じて様々な影響を周りに与え続けます。

cap_taishikakka1

政治絡みで腹黒い面々も登場しますが、それぞれ立場の違いがあるだけで、皆、それぞれの正義の元に善良であり、エピソードごとに晴れやかな感動があります。
もちろん、本職による監修のもとか登場する料理の数々は本格的で美味しそう。

cap_taishikakka

ちょっと真似して作れるレベルではありませんが(^^;)タハー

舞台はベトナムだけにとどまらず、日本はもちろん、タイや中国、北朝鮮など、巻を重ねるごとに広がっていきます。
実在の人物、あるいはそれを模したキャラクター達も魅力いっぱい。
食卓の上で繰り広げられる「食の外交」ドラマ、ぜひ読んでみていただきたい作品の一つとしてお勧めです。
d(⌒ー⌒)



百万畳ラビリンス

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友人の勧めで手にとって、上下巻一気に読みきりました☆

突然わけのわからない迷宮世界に閉じ込められた礼香と庸子。
ちょっとどこかで見たような出だしですが、ホラーやオカルトめいた雰囲気は微塵もなく、むしろ「あっけらかん」と恐怖心も焦燥感もありません。

森に囲まれたぼろアパートか廃ビルを思わせる迷宮にあって、じつに楽しそうに行動を始めます。

作者
たかみち
出版社
少年画報社
巻数
上下巻完結
ジャンル
ミステリー
ファンタジー
SF

協議の結果

■メインミッション
施設外との通信手段の確保

■サブミッション
出口に繋がっていそうな道を発見次第強行突破

■サブミッション2
脱出が叶わないときは支配者として降臨

コミックより引用

サブミッション2が物語るように、実に楽しそうに迷宮を調査する二人。
やがて迷宮の法則など色々と発見を繰り返していきます。

cap_100manjo

まるで緊張感のない脱出劇は思わぬ展開で、よりSFちっくになっていきますが、あくまでマイペースな二人にページをめくるスピードが上がります♪
(●⌒∇⌒●) これ面白い☆

果たしてこの迷宮はなんなのか。二人は現実世界に帰れるのか。

ぶっちゃけ途中からそんなことより、二人の考え方や行動が楽しくて仕方ありませんでした。

ほのぼの迷宮ミステリー( ^ω^ )オススメの作品です♪



NERVOUS BREAKDOWN(ナーバスブレイクダウン)

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軽シンのたがみよしひささんの探偵マンガです。
推理モノとしてミステリーやサスペンスの展開を独特のテンポで軽快に描かれています。

作者
たがみよしひさ
出版社
学習研究社
巻数
全13巻(文庫版全9巻)完結
ジャンル
ミステリー
サスペンス
推理
探偵
コメディ

北千住にある第3宇田川ビルに事務所を構える「田沼平九郎探偵事務所」の探偵たちが活躍するミステリー作品。

ウィキペディアより引用

かっこ悪い探偵を描いたと言われていますが、主人公探偵の安藤はよく生きているなwと思われるほど病弱。
cap_nervous
毎回大量に薬を飲んだり、所構わずゲロ吐いてるような( ^ω^ )でも、すごい推理力を持ってるんですよね。

相棒の探偵、三輪はその逆で「筋肉だるま」の異名を持つ超人的な体力と運転センスを持つ頼りになる?存在。

どうにもパッとしない探偵事務所所長の田沼と、およそ常識人として頼りになる、その娘の京子。

探偵ではないですが、事件の縁で行動を共にすることが多くなる資産家令嬢の美矢。

この5人を中心に、およそ一話完結で推理ミステリーが楽しめます。

たがみさんの作風として、8頭身と2頭身が入れ替わり立ち替わりますが、殺伐とした事件も探偵の活躍もシリアスに8頭身、コミカルに2頭身と違和感なく楽しめると思います。

ミステリーとしても上々のトリックもあり、推理作品が好きな方にも十分楽しめる内容です。

また、同じたがみよしひさ作品のキャラクターがゲスト出演するエピソードもあり、まるでその作品の後日談のように読者としては嬉しくなる話もあります♪

おまけマンガのように収録されているう「すぺしゃるれぽーと」4コママンガも秀逸です d(⌒ー⌒)ニコッ



ブレーメンⅡ

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川原泉さんのコミックはどれも好きなのですが、このブレーメンⅡは中でも大好きな作品です。
連載されていたPUTAO(女性漫画家によるエッセイ雑誌)も好きで、いいおっさんが毎回ウキウキしながら読んでいたことが思い出されます。
廃刊になったときかなり悲しかったなぁ……( ̄Д ̄;) いい雑誌だったのにちょっとニッチ過ぎたのかな?

作者
川原泉
出版社
白泉社
巻数
全5巻(文庫版全4巻)完結
ジャンル
SF
ハートフル

そんな折り、ブレーメン達を船内全てにおける乗務員として雇用した初の大型輸送船「ブレーメンII」は、誤差が少なく優秀で厳密という「イレブン・ナイン」の異名を持つキラ・ナルセ船長の指揮の元、宇宙を股に掛けて様々な星を巡り航海することになる。

ウィキペディアより引用

いかにも川原ワールドの主人公らしい、独特のほのぼのさと人情味あふれるキラ船長の元、遺伝子操作されたブレーメン(動物船員)たちとの宇宙航行の物語です。
cap_bremen
行く先々でトラブルに巻き込まれるのですが、キャラクターたちの奮闘には「ほっこり」する面白さがあります。

労働力としてのブレーメンは色々と迫害を受けても、川原ワールドでは多少の不幸ごとき笑い飛ばす胆力と活動力を持つキャラクターが溢れ、このブレーメンⅡでは活躍の縁が繋がって、ついに社会全体を動かす活躍まで成長♪。

奮戦するキャラクターたちの活躍が嬉しくて、何度も読み返してしまう面白さがあります。

宇宙の片隅で発せられた小さな声が
連邦各地に次々と伝わってだんだん大きくなっていく
それらが一つにまとまった時、もはや誰にも無視できぬ程の大合唱だ
ワワワワ〜〜〜!!

コミック本文より引用

数々のエピソードの中にはあまり面白いと感じないものもありますが、ラストエピソードのカタルシスは最高です。

心がほんのりあったかくなる、人にも勧めたい作品の一つです。
d(⌒ー⌒)